2024年09月10日

稲盛和夫と松下幸之助

今月は、稲盛和夫さんのお話をしたいと思います。
稲盛和夫さんのエピソードの中で、私が特に好きなものです。
 
稲盛和夫さんは、30代後半の頃、松下幸之助さんの講演を聴きに行きました。
松下幸之助さんは、70代前半頃だったと思われます。松下電器は、確固たる立場を築き上げ、松下さんも「経営の神様」との評判を確立していました。
若き日の稲盛和夫さんは、これからの経営に役立つ何かを得ようと考え、この講演に臨んだものと思います。
 
その日の講演のテーマは、「ダム経営」でした。
「ダム経営」とは、ダムが日照りのときに備えて水を溜めておくように、企業も不景気などに備えて日頃から資金に余裕を持った経営をすべきであるとの松下幸之助さんの考えです。

講演が終わると、質疑応答の時間となり、聴講者の一人が質問しました。
「『ダム経営』のお話、大変興味深かったです。ただ、具体的にどうやればいいのか分からなかったので、教えてもらえないでしょうか?」
これに対し、松下幸之助さんは、こう答えました。
「そんな方法は私も知りませんのや。しかし、まず、やろうと思わなければなりませんな」
この答えに対し、会場には失笑が広がったといいます。一件立派なことを話していても、質問されたら具体的なことは何も言えないのかと、多くの聴衆は思ったのかもしれません。

しかし、このような聴衆の反応とは違い、稲盛さんは、松下さんの返答に強い感銘を受けたのです。
「そうか。まずやろうと思うことか」
そして、稲盛さんは、ダム経営をやろうと強く心に思い、以後の経営において、ダム経営を実践するための工夫を重ね、その結果、稲盛さんは、京セラを日本有数の大企業に育て上げました。
稲盛和夫さんは、松下幸之助さんの「まず思う」というメッセージを、正面から素直に受け止め、具体的な方法は、自ら考えて実践を積み重ねたのです。
 
素直に受け止めることの大切さ、実践については自ら考えることの大切さを、稲盛和夫さんのこのエピソードが教えてくれると思います。




 西川 和志 
税理士法人 森田経営
代表社員

昭和54年7月19日生
主な資格:税理士、弁護士

西川 和志
税理士法人 森田経営
代表社員

昭和54年7月19日生
主な資格:税理士、弁護士


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