2006年03月10日
前回、安岡正篤さんの「六中観」について少し触れましたが、今回は、安岡正篤さんの紹介と「六中観」についてお話したいと思います。
正篤さんは、明治31年にお生まれになり、東京帝国大学法学部政治学科を優秀な成績で卒業されましたが、官僚にもならず、どこにも就職されず、生涯学問の道を歩まれました(漢学者)。一時期頼まれて、学校経営をされたことがあったようですが、それを除けば、給料を貰ったことはなかったようです。終戦の時に昭和天皇が話されたお言葉の原稿には、正篤さんが関与したと考えられています。また、平成の元号も、「外平らにして、内成る」という中国の言葉から、正篤さんが考えたと言われています。歴代の首相の多くは正篤さんに教えを請うたそうです。
それでは「六中観」について、お話したいと思います。「六中観」とは次の6つを言います。
1.忙中閑あり
「忙中閑あり」とは、日頃忙しい毎日を送っているので、時たま閑があると、本当に閑の良さが解るというものです。
2.苦中楽あり
「苦中楽あり」とは、苦中の楽こそ本当の楽であり、毎日楽ばかりしていては、楽が当たり前になり、楽の良さが解らなくなってしまうというものです。
3.死中活あり
「死中活あり」とは、何事も死んだつもりで、事を行えば、活路が見出せるというものです。
4.壷中天あり
「壷中天あり」とは、壷の中は狭い所ですが、そういう狭い所でも、上は天まで通じており、さまざまな出来事があり、広い世界が存在するということです。
5.意中人あり
「志があり、何か事を為そうとすれば、意中の人を持たなければなりません」と正篤さんは言っています。「意中人あり」とは、一人では何もできないので、いろんな人が必要ということです。
6.腹中書あり
正篤さんは、「腹中に書があるようでないといけない。ちょっぴりと刻み込まれた学問ではだめで、わが腹中に哲学、信念があり、万巻の書がある、様でないといけない。」と言っています。
西川 和志
税理士法人 森田経営
代表社員
昭和54年7月19日生
主な資格:税理士、弁護士