2018年12月10日
12月に入り、そろそろ来年のことを考える時期となりました。
この1年を振り返ってみても、時代の変化は大きく、“過去の延長線上に未来のビジネスモデルはない”という認識を、多くの方が持ってみえるでしょう。
これからの時代に合わせたビジネスモデルを一から見直し、構築していかなければなりません。
それに当たってキーワードになるのが『生産性改革』で、少子高齢化、人手不足、外国人雇用等の問題もあります。
ものづくりでいえば、数年後にはほとんどのものを3Dプリンターで作ることができ、建設業界ではドローンを使ってビルの建築も進むだろうと言われています。
IOT・AI・ビッグデータ等のICT化も各業種で取れ入れられるようになり、いち早く対応していくことが生き残る条件ではないでしょうか。
ただ、大手企業は豊富な資金力で着々と進めているようですが、我々中小企業はそう簡単にはいかない部分もあります。
どのように対応していくかは、自社の特色、人材、設備等を考慮しながらかと思います。
周りの状況、今後の業界の動き等をよく見定めて、『考える経営』が益々必要になっていきます。
2018年10月09日
今年の夏にニュースで「たこ焼き売店1億3,000万円を脱税か!?」と報じられました。
大阪城公園内で茶屋をしていた72歳女店主が、たこ焼きなどの売上で得た所得を申告せず、3年間で5億円以上を売上げ、1億3,000万円余りを脱税したとして大阪国税局から告発されました。
個人商店のたこ焼き屋は、零細っぽい日銭を現金で稼ぐような商売で、とても億単位のお金を稼げるような印象はありません。
たこ焼きは「8個入り600円」で売っていたようで、単純に計算すると1日あたり700セット、計5,600個以上のたこ焼きを売っていた計算になります。
たこ焼き以外にも、焼きそばやソフトクリーム・かき氷なども売っていたようですが、これだけの量を販売するにはそれなりの労力が必要だったと思います。
かつては花見シーズンぐらいしか客が来ず、売上も少なく、申告をしていなかったとのことですが、ここまで売上が増えた理由は、大阪城という抜群の立地条件と、周りに商売敵の露天商がいない独占販売状態だったということ、また訪日外国人の急増で外国人観光客が殺到したことが要因だそうです。
女店主は、高級車に乗ったりブランド品を着たりすることもなかったようで、普通に近所にいる初老のおばちゃんだったようです。
今回の件を経営的にみると、”たこ焼き・やきそば・かき氷等”は、原価率が低いため、販売数がある一定数を超えると「ぬれ手に粟」状態で儲かるという典型的な例です。
思わぬインバウンド消費で時代に乗り、あっという間に億万長者になってしまう今のスピード感に驚きます。
薄利多売も一つの戦略ですが、粗利が高い商売をしたいものです。
ただし、くれぐれも申告・納税はお忘れなく。
2018年09月10日
来年4月の新卒の採用もほぼ終わりとなりました。
再来年の新卒採用について、経団連会長が「就活ルール」を廃止する考えを示して、学生の間では戸惑いが広がっているようです。
少子化の影響もあり新卒採用には各社力を入れていますが、その反面大幅な人員削減を行う企業もあります。
栄養ドリンク剤「リポビタンD」や風邪薬「パブロン」などで知られる大正製薬ホールディングスでは、10年以上勤務、40歳以上の従業員約3,000名を対象に、早期退職優遇制度を実施。その結果、応募は948名にも達し、中堅として現場の中核を担うべき社員が一気に3割も退職するそうです。
大正製薬HDの2018年3月期の営業利益は前期比16%増ということなので、業績が悪くなった企業のリストラとは少し違うようです。
人が増えている割には利益が伸びておらず、一人あたりの生産性が低下している現状を打破するため、社員の意識改革を促すショック療法と言われています。
その真意のほどは定かではないですが、やはり長年頑張ってきた社員が辞めてしまうのは心苦しいものです。
「企業は人なり」というように、人を大切にする会社を目指したいものです。
2018年07月10日
先日、ベトナムのホーチミン戦争証跡博物館へ行ってきました。
ここはベトナム戦争がベトナムの人々に与えた影響を示すことを目的とした展示品を置く博物館です。ベトナム戦争の開戦は1955年で1975年4月30日に終結しました。私の記憶では遠い昔の話だと思っていましたが、それほど古いことではないのに驚きました。
戦争の詳しい内容は省略しますが、簡単にいえば北ベトナム・ソ連と南ベトナム・アメリカ軍の戦いだったようです。最後は、アメリカ軍が撤退し南ベトナム政府は無条件降伏して終結しました。
この戦争でアメリカ軍は「枯葉剤」を散布して、人が隠れる森林をなくし、同時に食物を育てる土地も破壊するという戦略をとりました。「枯葉剤」には、ダイオキシンなどを含み非常に毒性が強いもので、動物実験では奇形を生じさせることがわかっていて人体にも影響を及ぼすことを承知で行いました。その結果、ベトナム国内では出産異常が激増し、下半身がつながった結合双生児として生まれた「ベトちゃん・ドクちゃん」を覚えている人もいるかと思います。博物館には、このベトナムの人々を苦しめた枯葉剤の威力を示す膨大な量の写真や標本が並び、そのどれもが戦争が生み出す人的被害の凄まじさを物語るものでした。中には子どもたちに見せるにはあまりにも刺激が強すぎる生々しい写真もあり、日本では展示されないだろうなと思いました。
広島・長崎の原爆記念館に行ったときも思いましたが、あらためて戦争は人類に滅亡をもたらすだけで無意味な行為だと確信しました。アメリカ・北朝鮮をはじめ各国が核兵器を放棄し、お互い協力しあいながら平和な世界になるよう祈ってます。
2018年06月11日
Society5.0とは、我が国が目指すべき未来社会の姿として国が提唱する社会です。解説によると「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」ということらしいです。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会です。
具体的には、
(1) ドローン宅配:無人のドローンが指定の時間・場所まで荷物を届けてくれる。物流業界の人手不足が解消できる。
(2) AI家電:AI冷蔵庫が、冷蔵庫にあるものでできるレシピを提案、食材のストック管理をする。
(3) 医療・介護:遠隔診療で、家にいながらお医者さんに診てもらえる。重労働の介護を、疲れ知らずの介護ロボットがサポート。
(4) 働き方:無人トラクター、清掃ロボットで人手不足解消。
(5) スマート経営:会計クラウド導入で、Web注文・決済がスムーズに。家計簿も簡単に、決算もリアルタイムで把握でき素早い経営判断が可能。
(6) 自動走行:自動走行バスが導入されれば、時間帯を問わず目的地まで行け、地方都市では実際に試験運転も行われ、導入間近。
上記が簡単な内容になりますが、今後日本は少子高齢化により働き手が少なくなってくるので、それを見据えた国の政策だと感じました。
この中で私が一番気になったのは、(5)スマート経営で会計のクラウド化を国が推進していることでした。リアルタイムの数字を把握し経営判断を行い、熱意や勘に頼った「売上目標」でなく、実際に「売れた」「予約された」などのデータに基づく生産・販売計画により、在庫や廃棄品を減らすようにしていくのが目標のようです。
中小企業の経営者の多くは、勘と度胸で勝負をしてきた面もあると思いますが、これからの経営はITを駆使しデータに基づく経営を推進していかないといけない時代に入ってきたようです。勿論、弊社もお客様とともに時代の変化に対応していきたいと思います。
西川 和志
税理士法人 森田経営
代表社員
昭和54年7月19日生
主な資格:税理士、弁護士