2019年07月10日
国税庁は6月5日、ネット取引収入に対し適正に課税するための専門プロジェクトチームを設置し、情報収集の体制を強化すると発表しました。
ネット取引とは、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークション、暗号資産(仮想通貨)、ネット広告、アフィリエイト、シェアリングビジネスサービスです。
これらの取引の特徴は、(1)広域的・国際的取引が容易(2)足が速い(3)取引の実態がわかりにくい(4)申告手続き等に馴染みのない人の参入が容易、などです。
こういった取引は、実際に物が動く取引と違い目に見えにくいため、事実を把握しにくく課税漏れが多いと言われていました。
そこで国税庁は3月に法改正して、一定条件の下であるものの、国税当局は多額の利益を得た顧客などの情報を事業者に照会することが可能になり、事業者が正当な理由なく情報提供に応じない場合は、罰則を課せられることになりました。
これまで税務署は任意で関係資料を収集していましたが、任意であることを理由に協力を拒否される場合も少なくありませんでした。
これで今後は、国税当局の照会に対して、関係事業者は情報提供せざるを得なくなり、脱税が疑わしい顧客の秘密を、商売上守りたくてもできなくなります。
こういった改正は、ニュース・新聞・雑誌等にあまり取り上げられることなく、着々と進められています。
見えないところで隠れて悪いことはできない時代になってきました(別に悪いことをしていなければ気にすることもないのですが)。
申告は正しく、正々堂々と行いましょう。
西川 和志
税理士法人 森田経営
代表社員
昭和54年7月19日生
主な資格:税理士、弁護士